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一ク・リッジ氷堆積の丘陵斜面、西はナイアガラの絶壁に沿って走っている。このトレールで結ばれた地域がいわゆる「グリーソネット」を形成し、全地域の都市部に影響を与えている。「グリーソネット」は生物の多様性と環境衛生の保全に寄与している。

 

WFトレールはまた、観光客などこの地域へ人間を引き寄せる事により、中小企業の創出とウォーターフロントの都心部の復興にもつながり、経済の活力を刺激している。この結果、隣接地域の地価も上昇している。

 

WFトレールはトロント港、および関連工業地帯、さらには他の工業地域にも延びている。21世紀の企業に適した自然に優しい環境を作り、投資の誘因にプラスの要素となっている。

 

このプロジェクトがうまくいっているのは、開発プロジエクトを対応しやすいレベルに細分化し、参画者を大勢集めた点にある。小規模な地域では、その地域なりに自主運営を行い、その誇りは都市部の自治体のそれに匹敵するものとなっている。迅速に優れた結果が得られ、さらなる開発への意欲を刺激している。

 

数多くのプロジェクトが実行されてきており、種類も様々である。トレールの整備に限らず、浸食・土砂対策、野生動植物の保護、生息環境の回復、庭園、公園の設置と補強、子供の遊び場、船着き場、埠頭、桟橋、ボードウォーク、橋梁、さらにはミニ博物館、屋外コンサート場などがある。

 

トレール建設におけるWRTの業務は、全体的なプロジェクト・ビジョンの説明、地方自治体との優先事項の調整、トレールの建設基準、ガイドラインの作成であるが、必要な場合には民間株主との交渉、提携先の整理もこれに含まれる。地方白治体及び自然保護団体は建設、運営と保全の責任を負った。

 

50の管轄区にまたがり、何百キロにも及び、文字通り数十ものパートナーや何百人もの土地所有者が関係するため、この建設プロジェクトはあらゆる問題に遭遇してきた。技術的問題(例:技術や設計問題)、資金問題、管轄区相互の問題、地主の反対や通信の分断といった問題などがあげられる。

 

このような問題は、様々な技術を駆使することにより解決してきた。強くプロジェクトのビジョンを打ち出し、市民や政府からの支持を取り付けつつ、各地域や管轄区の状況を常に把握し、柔軟に対応する意思を持ち、オープンで参加型プロセス(座談会、作業部会、ワークショップなど)をとること、それと忍耐である。

 

 

 

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